2020年10月01日

【CDその1曲解説・試聴音源】トラック006〜032 ヌール(ノロ)のウムイ

■■収録曲解説、試聴音源および歌詞等■■

トラック006〜032 ヌール(ノロ)のウムイ

沖縄のシャーマン的存在「ノロ(祝女)」が祭祀儀礼の中で謡う歌「ウムイ」。主に村落共同体の安寧や大漁・豊穣などを祈願する内容の神歌です。「オモロ」と語源は同根で「想い」説が通説となっています。


<民芸全4から盛彬の解説引用一部抜粋 p.44-48>

のろは初世紀の頃、民族が漁猟生活から農業の集団生活に移って氏神を祭った時からの祭司であった。古神道と謂われる、固有の民族的宗教である。(p.44)

楽式は一概に雑多で単純な形を備え、三絃楽渡来前の様相を備えている。(p.47)

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※画像は民俗芸能全集第1巻『琉球の音楽芸能史』より


曲の解説と試聴音源

<トラック006〜トラック010 恩納のウムイ>

採譜者 山内盛彬  採譜時歌唱者 根神 屋号前谷茶 津波古かまど 1858生

採譜年 大正の初め頃(出典『琉球音楽史略』山内盛彬1952)  採譜場所 恐らく恩納村字恩納?


006 ヌールのウムイ 恩納 船ウムイ

試聴音源 006 ヌールのウムイ 恩納 船ウムイ試聴用.wav


<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には11番まで記載>

島の国勢頭が 棚取りわ 置ちきおり シュラ アジャーウェヌワーヌーカーミーシューガー

shimanukunishiduga tanaturiwa uchikiori shura ajawenuwanukamishuga


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.50>

船の祈願で六月稲穂祭りにのろ根神神人達が謡う曲。





007 ヌールのウムイ 恩納 山ウムイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には25番まで記載>

(1)三日日選でぃ 四日日選でぃ (2)天子みたきぬ 桑木ま弓 (3)だしちゃ(※木の名)ま弓 あゆ美らや

 mikabiiradi yukabiiradi amikumitakinu kwaagimayumi dashichamayumi ayuchuraya


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.51>

6月穂祭霜月ウンネーウユミに唄う 猪退治の歌





008 ヌールのウムイ 恩納 海ウムイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には28番まで記載>

(1)ウーあまんちゅぬヘイ (2)ウーしねんちゅぬヘイ 

 u amanchunu hei u shinenchunu hei

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.52>

霜月ウンデーウユミに謡う 漁りの歌曲





009 ヌールのウムイ 恩納 クヮーシヌウムイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には9番まで記載>

ウー ゆいたちゅる たちゅる

u yuyitachuru tachuru

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.53>

六月十一日穂祭の時に謡う





010 ヌールのウムイ 恩納 失題 (盛彬の字で「うちぬうむい」と記載有)

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<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には12番まで記載>

やまとぅから 下たる あかわんぬ ぬるわしや
yamatukara kudataru akawannu nuruwashiya

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.54>

失題(うちぬうむい) 一小節毎に軽く合掌する





<トラック011 玉城糸数ノロのウムイ>

採譜者 山内盛彬  採譜時歌唱者 ノロ トーヤマカミ 1863生

採譜年 大正の初め頃(出典『琉球音楽史略』山内盛彬1952)  採譜場所 恐らく南城市玉城字糸数?


011 ヌールのウムイ 玉城糸数のウムイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には21番まで記載>

ウリヘイヘイ むかしからあるよーに

uriheyiheyi mukashikara'aruyoni

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.55>
特に記載なし




<トラック012〜023 粟国ノロのウムイ>

採譜者 山内盛彬  採譜時歌唱者 ノロ アギムラ

採譜年 大正の初め頃(出典『琉球音楽史略』山内盛彬1952)  採譜場所 恐らく粟国村?


012 ヌールのウムイ 粟国 トゥチナヲゥリ

盛彬の筆跡で譜面の欠損が補完されていました(音源では反映されていません)

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<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には12番まで記載>

エ エ エ きゆぬ ヨ ヨ とぅちなを

e e e kiyunu yo yo tuchinawo

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.56>

作物の祭の歌曲





013 ヌールのウムイ 粟国 キートゥマー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には104番まで記載>

きゆとぅまや
kiyutumaya

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.56-7>

キートマー(オーヒヤーヒ)※曲名





014 ヌールのウムイ 粟国 ウネージャク

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には58番まで記載>

ウーヘーイ ヘーイ きゆぬとぅきなをー

u hei hei kiyunutuchi nen'yini(※譜面ではnan'yini)


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.58>
特に記載なし



015 ヌールのウムイ 粟国 東咲く花

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には12番まで記載>

イ 東さく花
yi agarisaku sakuhana


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.61>
特に記載なし


016 ヌールのウムイ 粟国 国御儀式

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には12番まで記載>

エイエ すゆみちぬ ヨ ヨウ みじり クリヒチュチュエドイ
e yi e  suyumichinu yo yo u mijiri kurihichuchu e doyi

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.62>

(東から西に向かって)





017 ヌールのウムイ 粟国 茶ワントゥyイマチー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には11番まで記載>

ちゃわんとぅい まちが エ ヘシャラフヤフハベルメマタ 
chawantuyi machiga e hesharafuyafuhaberumemata
※譜面上および音源では上記だが、歌詞には「ちゃわんとぅい まちが"に" ヘシャラフヤフハベルメマタ」とある
 歌形が5+4型なので「まちがエ」ではなく「まちがに」のほうが正しいと思われる

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.64>

(東の人東に帰る道中)




018 ヌールのウムイ 粟国 フェーユマー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には8番まで記載>

ヘユマ ヘユマ きゆとぅまぬ ヘユ ヘユマ
heyuma heyuma kiyutumanu heyu heyuma

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.64>

(立ち別れの曲)





019 ヌールのウムイ 粟国 イスギスギ神ガニー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には23番まで記載>

イー いすぎすぎかみがに
yi isugisugi kamigani

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.65>

(西の人西に帰る)




020 ヌールのウムイ 粟国 八月のウムイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には52番まで記載>

(1)ちゅーとぅまーぬ (2)なまみがーぬ
 chutumanu      namamiganu

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.66>

(坐して唄う)




021 ヌールのウムイ 粟国 アママウフンチュー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には30番まで記載>

あままうふんちゅが ヨ
amamaufunchuga yo

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.68>

(漁る儀式に立って唄う)




022 ヌールのウムイ 粟国 リーヂ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には30番まで記載>

ウーヘーイ ヘーイ すゆみちようむりぐゎー
uheyi heyi suyumichiyoumurigwa

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.70>

リージウムイ(ウーヘーイヘーイ)




023 ヌールのウムイ 粟国 途中変曲(リーヂウムイ)

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には72番まで記載>

にしぬひた うらばるに  ※譜面上および音源では「にしぬひた」だが歌詞記載には「にしぬひだ」
nishinuhita urabaruni

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.70>

(途中で曲が変る)





<トラック024〜32 慶良間のウムイ>

採譜者 山内盛彬  採譜時歌唱者 慶良間座間味ノロ(字座間味のウムイのみ)、阿佐と阿真は不明

採譜年 1915(出典『琉球音楽史略』山内盛彬1952)  採譜場所 恐らく慶良間諸島座間味村?


024 ヌールのウムイ 慶良間座間味 ウーヘーyイ

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には54番まで記載>

ウーヘーイ ヘーイ いきぬかふ
uhei hei ikinukafu

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.72>

(正月三日の節句にノロ殿内で唄う)




025 ヌールのウムイ 慶良間座間味 朝カン

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には7番まで記載>

イエイ ヘ ヘ あが アイ り ヘイヘ ヘ だ ハ ち イ う イ フ め 〔あがりだちうめー〕
ieyi he he aga ayi ri heyi he he da ha chi yi u yi fu me

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.73>

(二月麦の穂祭の時、外殿の前で、朝かんの勤めに唄う)




026 ヌールのウムイ 慶良間座間味 夕カン

※音源では盛彬が三線とともに歌っていますが本来はウムイに三線は伴奏しません。
 盛彬は正確な音程を取るための補助として三線を弾いていると思われます。

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には11番まで記載>

イエ へ ませーぬ主 イ フ が イ ハリ アヤ ウ ウェリ 〔ませーぬ主が〕
ie he masenushu yi fu ga yi hari aya uweri

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.74>

(二月麦の穂祭の時、外殿の前で、夕かんの勤めに唄う)




027 ヌールのウムイ 慶良間座間味 ユガノー

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※音源では盛彬は「くぬふばな」のところを「ういふばな」と歌っているようです(画像参照)

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には10番まで記載>

ウ イ フ くぬ フ ま ア ハ てぃ ヘ フ くぬ ふ バ ア ハ な イ ガ ハ 〔くぬまてぃー くぬふばな〕
u i fu kunu fu ma a ha ti he fu kunu fu ba a ha na i ga ha

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.75>

ユガノーウムイ(豊年おもり) (同日殿内の前で朝かんの勤めに唄う)




028 ヌールのウムイ 慶良間座間味 タキネー(盛彬の字で「タキネーイ」)

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<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には164番まで記載>

ヘイヘ あまみ ヒ ちゅ イフ が 〔あまみちゅが〕
heihe amami hi chu ifu ga

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.76>

タキネー(イ)のウムイ (同日阿佐殿の前で)  ※画像参照




029 ヌールのウムイ 慶良間阿佐 ンチャーラベー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には13番まで記載>

イエ ヨ ヘ ハ み八月
ie yo he ha mihachigwachi

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.79>

(阿佐のンチャラビでのおもり)




030 ヌールのウムイ 慶良間阿真 ギレー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には12番まで記載>

ヘイ ヘ ヘ あ ア イ イ ハ ハ ざ イ ハ ま〔あざま〕
hei he he a a i i ha ha za i ha ma

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.80>

(築殿のおもり)




031 ヌールのウムイ 慶良間阿真 カヤーヌムンニゲー

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には30番まで記載>

いきぬかふ あきぬかふ
ikinuhahu akinuhahu    ※歌詞には「いきぬかふ」とあるが実際の発音は「いきぬはふ」、「か」にルビで「ハ」

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.81>

(大漁の物願い)




032 ヌールのウムイ 慶良間阿真 戻り

<歌詞発音 繰り返しは省略※民芸全4には8番まで記載>

いきぬかふ あきぬかふ
ikinukahu akinukahu

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.81>

(失題 帰港のおもり)





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【CDその1曲解説・試聴音源】トラック001〜005 首里王府のウムイ(オモロ)

■■収録曲解説、試聴音源および歌詞等■■

トラック001〜005 首里王府のウムイ(オモロ)

沖縄の万葉集と称された『おもろさうし』(国の重要文化財)に詞が記載された神歌「オモロ」(県無形文化財)。王府の儀礼の中で謡われ、神へ祈りを届ける国家祭祀的役割を果たしました。山内盛彬は王府オモロの技能保持者として県指定されました。

『おもろさうし』については各種サイトや書籍等に詳しい解説がありますのでそちらをご参考ください。


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※画像は民俗芸能全集第1巻『琉球の音楽芸能史』より


このCDに収録されたオモロは神歌主取(ウムイヌシドゥイ)が近代まで伝承したオモロです。これは、いわゆる"古琉球"の時代のオモロの歌唱方法とは大きく異なっている、という推測が定説になっています。

盛彬が採譜・吹込したオモロには、歌詞一字一字の間に意味を持たない発音(盛彬はこれを「附言」、金城厚氏はこれを「挿入語」と呼称)があり、歌詞を聴き取ることは非常に困難になっています。

音楽的な予備知識がなければ歌詞の聞き取りは不可能と言ってもいいでしょう。

このような歌唱法はいくつかの地方神歌にも類例がありますが、特にこのオモロは大量の無意味音を内包していて声をまるで楽器のように扱っています。

比嘉悦子氏は、盛彬のオモロは一見難解なようだが短いフレーズパターンのヴァリアンテがモザイク風に結合されて反復されているに過ぎない構造であることを明らかにしました。

また『おもろさうし』内の表記で繰り返しを表す「又」記号以下の歌詞を安仁屋真苅翁が謡わなかったのは、時代が下り儀式の内容・頻度・予算などが減ったためではないかと考えられます。




<民芸全4から盛彬の解説引用一部抜粋 p.25-33>

 琉球のおもろ・おもりは車の両輪のように文音そろって後代まで伝承されて片輪を免れたのは、世界の奇跡である。しかるに廃朝後は支持者を失って亡びようとするのを採譜したためにその面影を残し得たのは不幸中の幸である。(p.25)

 大正元年八月十七日、王朝のおもろの伝授と採譜をするために、王朝最後のおもろ主取安仁屋真苅翁を大山の寓居に訪ねた。翁と私の祖父盛熹とは親友であり、祖父の計いで翁宅に使わす約束が既にできていたので、翁は快く迎えて下さった。
私が行ったらシテ四人を呼び寄せ、姿勢をきちんとして正坐し、まず『おもろさうし』に一礼して後、扇を打ふりながらフチュン(謡う)され、一週間の期間家事一切を省みず、教授と採譜をさせていただいた。
 お別れに当たって翁は「廃朝後は世襲もなくて絶えるところ、君の採譜のお蔭で永えに伝えていくことのできるのは感謝に堪えない。ぜひ印刷に付し、琉球文化宣揚のために努力してくれ」と固く握手して下さった。(p.31-32)






曲の解説と試聴音源

採譜者:山内盛彬  採譜時歌唱者:安仁屋真苅(あにやまかる)
採譜年月日:1912年8月17日〜24日  採譜場所:宜野湾市大山 安仁屋本家(大戦で焼失)

001 首里王府のウムイ オーレーガフシ

おもろさうし巻22 1(通し番号1508) 稲の穂祭之時おもろ あおりやへが節

試聴音源 001 首里王府のウムイ オーレーガフシ試聴用.wav


<歌詞発音>

あまみきょが うさししょ この大しま おれたれ とももすへ おぎゃかもいす ちょわれ

amamikyuga usashisyu kunuushima uritari tumumusuyi ujakamuishi chowari


<歌意>

あまみきよ神の御命令でこの大きな島”沖縄島”に降りて来られた尚真王様よ、千年も末長く支配してましませ。

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.35>

オーレーとは首里と今帰仁におかれた女神官名。五月稲穂祭の時、王城正殿で主取が謡った歌曲である。国王は見えないが、有司百官七八十人出席し、御茶神酒を供える時に謡い初め、儀式の了ると共に謡も止める。




002 首里王府のウムイ ウシカキフシ

おもろさうし巻22 2(通し番号1509) 稲の穂祭之時おもろ おしかけ節


<歌詞発音>

きこゑ大ぎみぎゃ けおの うちの のろのろ あよそろて かくらひやし みぉやせ
kikuyiufugimija giunu uchinu nurunuru ayusuruti kakurahyoshi myuyashi

<歌意>

聞得大君が京の内のノロたちと心を揃えて神座拍子を国王様に奉りなさいませ。

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.37>

謡式 あおりやへかふしに同じ




003 首里王府のウムイ カクラフシ

おもろさうし巻22 10(通し番号1517) 稲の大祭之時おもろ かぐら節


<歌詞発音>

きこゑ大ぎみぎゃ とよむ せたかくか さしふ おれなおちへ

kikuyiufukimija tuyumushitakakuka sashifu urinauchiyi


<歌意>

名高く霊力が高い聞得大君が、さしふ神女に天降りして世を直し平和になさいませ。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.38-39>

六月稲穂祭謡。かくらは神倉で神の所在を意味する。 謡式 あおりやへか節に同じ




004 首里王府のウムイ アカシミジラシヤカフシ

おもろさうし巻22 43(通し番号1550) 唐船すらおるし又御茶飯之時 あかずめづらしやが節

雨乞の時おもろ(巻22 39 通し番号1546)と旋律が同じ


<歌詞発音>

あかすめづらしや いぢらかず おみまふて す はりやせ

akashimijirashiya ijirakazi umimafuti shi fauyashi


<歌意>

立派な珍しや神女は出船の毎に見守ってこそ(船を)走らせ給え。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.40-41>

唐船すらおるし すらおるしとは進水のことで、一年越しに新造される唐船の進水式には三司官も見えて船中でこのおもろを主取が謡う。造船所は垣花のアミヤーで、後の監獄敷地であった。

御茶飯 唐船出帆一か月前に行われる御茶飯(船員を国王が慰労する宴会)の儀式や、纜を造る祈願(イーチンナ)に謡われる。

雨乞 親方部三人出席し、城中又は雨乞バンタで祈願の時のおもろ。天上に水の川があり、雨はそこから降るので、雨乞いをすれば雷雨が降ると考えた。




005 首里王府のウムイ シヨリイートゥフシ

おもろさうし巻22 47(通し番号1554) 御冠船之御時おもろ しよりゑと節


<歌詞発音

しよりおわるてだこか おもいくわのあすび なよればのみもん

shiyoriuwarutidakuka umuikuwanuashibi nayuribanumimun


<歌意>

首里におわします国王の、愛する子の神遊びの、踊る様の美しさよ。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.43>

えととはイートの表記で、賞讃のかけ声である。このおもろは首里に在す尚円王の王子王女の舞踊を誉めたたえたおもろである。冠船劇で冊封使観覧のとき、開幕前におもろ主取が唄う。





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【CDその1概要】山内盛彬生誕130年 民俗芸能全集付録音源復刻盤CDその1 琉球王朝古謡秘曲の研究

民俗芸能全集付録音源復刻盤その1 琉球王朝古謡秘曲の研究


             


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CDその1は3枚組になっており、民芸全4『琉球王朝古謡秘曲の研究』に付属されたオープンリール音源全てを収録しています。

160曲と膨大な曲数でありながらどれも貴重な音源です。大正時代に盛彬が採譜したオモロやクェーナなどの神歌をはじめとする、古い時代より伝承される多種多様な琉球の音楽が記録されています。

第4巻付録オープンリールには「赤」と「青」の2種類があり、歌詞数や繰り返し数など音源の内容が若干異なっていました。

このCD集では全ての曲について比較的内容量の多いものを選択し収録しています。タイトルに関してパッケージ毎に表記ブレがありましたが統合しています。


3枚目のCDの後半、トラック153以降には、オープンリール「赤」に「空白利用 1963年11月3日YWCAで出版祝賀会会場での録音」として付録されていた音源を収録しました。これは民芸全第3巻の出版祝賀会で、家族や友人たちと共に音楽を奏する盛彬の喜びと日常が聞こえてきます。


第4巻の出版年月日は1964年5月15日ですが、パッケージ等に収録日の記載がなかったため正確な録音日は不明です。ただ上述の63年11月3日の音源が収録されていることなどから、1963年〜64年(盛彬73歳〜74歳)頃の録音だろうと推測できます。

なお臼太鼓音源トラック059と060については音質の劣化が極めて進んでいたため修正できませんでした。ノイズが激しいことを予めご了承ください。


盛彬がそもそもこれらの楽曲をどのように採譜したのかについて疑問に思われる方が多いと思います。なのでこのブログの下段末尾に盛彬の言葉による「採譜の仕方」を載せておきます。




<以下曲目録 リンクから曲の解説および試聴音源へジャンプ>

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■■Disk1■■

<トラック001〜005 首里王府のウムイ(オモロ)>

 001 首里王府のウムイ オーレーガフシ

 002 首里王府のウムイ ウシカキフシ

 003 首里王府のウムイ カクラフシ

 004 首里王府のウムイ アカシミジラシヤカフシ

 005 首里王府のウムイ シヨリイートゥフシ


 006 ヌールのウムイ 恩納 船ウムイ

 007 ヌールのウムイ 恩納 山ウムイ

 008 ヌールのウムイ 恩納 海ウムイ

 009 ヌールのウムイ 恩納 クァーシヌウムイ

 010 ヌールのウムイ 失題

 011 ヌールのウムイ 玉城糸数のウムイ

 012 ヌールのウムイ 粟国 トゥチナヲゥリ

 013 ヌールのウムイ 粟国 キートゥマー

 014 ヌールのウムイ 粟国 ウネージャク

 015 ヌールのウムイ 粟国 東咲く花

 016 ヌールのウムイ 粟国 国御儀式

 017 ヌールのウムイ 粟国 茶ワントゥYイマチー

 018 ヌールのウムイ 粟国 フェーユマー

 019 ヌールのウムイ 粟国 イスギスギ神ガニー

 020 ヌールのウムイ 粟国 八月のウムイ

 021 ヌールのウムイ 粟国 アママウフンチュー

 022 ヌールのウムイ 粟国 リーヂ

 023 ヌールのウムイ 粟国 途中変曲(リーヂウムイ)

 024 ヌールのウムイ 慶良間座間味 ウーヘーYイ

 025 ヌールのウムイ 慶良間座間味 朝カン

 026 ヌールのウムイ 慶良間座間味 夕カン

 027 ヌールのウムイ 慶良間座間味 ユガノー

 028 ヌールのウムイ 慶良間座間味 タキネー

 029 ヌールのウムイ 阿佐 ンチャーラベー

 030 ヌールのウムイ 阿真 ギレー

 031 ヌールのウムイ 阿真 カヤーヌムンニゲー

 032 ヌールのウムイ 阿真 戻り


<トラック033〜037 慟哭のウムイ・天親田(アマウェーダ)・御茶飯(ウチャファン)>

 033 慟哭のウムイ 国王葬儀のウムイ

 034 天親田 玉城仲村渠 据クェーナ

 035 天親田 玉城仲村渠 立クェーナ

 036 天親田 玉城仲村渠 マヅィンの廻りを唄いつつ

 037 御茶飯 旅御前風


<トラック038〜53 クェーナ>

 038 クェーナ 首里 旅歌

 039 クェーナ 首里 旅クェーナ

 040 クェーナ 首里 ハエーグェーナ

 041 クェーナ 首里 ヤラシー

 042 クェーナ 首里 ウリヅィングェーナ

 043 クェーナ 首里 大城グェーナ

 044 クェーナ 首里 東代(アガリユー)

 045 クェーナ 首里 ヤーラーグェーナ

 046 クェーナ 首里 兼城グェーナ

 047 クェーナ 首里 ヒーヤー踊り

 048 クェーナ 首里 ハルヨー船

 049 クェーナ 首里 ハーエー踊

 050 クェーナ 首里 雑節 泊高橋節

 051 クェーナ 那覇のシターリー

 052 クェーナ 慶良間座間味の元旦ウムイ

 053 クェーナ 慶良間座間味の元旦ウムイ後奏


<トラック054〜057 聞得大君のお新下り(ウヮーラウリ)>

 054 聞得大君のお新下り(ウヮーラウリ) 道グェーナ入羽

 055 聞得大君のお新下り(ウヮーラウリ) ハレイシフーフェーイ

 056 聞得大君のお新下り(ウヮーラウリ) 道グェーナ出羽

 057 聞得大君のお新下り(ウヮーラウリ) ウチグェーナ


<トラック058〜067 臼太鼓(ウシデーク)>

 058 臼太鼓 奥間 虎頭山節

 059 臼太鼓 高離宮城 謝敷節(唄喜屋原ほか)

 060 臼太鼓 高離宮城 クフヮデーサー節

 061 臼太鼓 高離上原 ヤンガーハーリー

 062 臼太鼓 美里古謝 円覚寺節

 063 臼太鼓 石川 首里天加那志

 064 臼太鼓 石川 大和代

 065 臼太鼓 石川 石ン根ヌ道

 066 臼太鼓 石川 アガリー

 067 臼太鼓 石川 安里八幡



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■■Disk2■■

<トラック068 南島踊(フェーヌシマ)・木遣(チヤイ)>

 068 南島踊 安里 登場

 069 南島踊 安里 瓢箪踊

 070 王城落成の木遣 首里 真和志平一番チヤイ

 071 王城落成の木遣 首里 南平一番チヤイ

 072 王城落成の木遣 首里 不明(唄宮城能造)

 073 王城落成の木遣 首里 南平三番チヤイ

 074 王城落成の木遣 首里 南平戻手

 075 王城落成の木遣 首里 戻手

 076 王城落成の木遣 首里 失題

 077 王城落成の木遣 那覇 行進

 078 王城落成の木遣 那覇 百姓木遣

 079 王城落成の木遣 名護 国頭捌理

 080 王城落成の木遣 奥間 国頭捌理

 081 王城落成の木遣 奥間 雨降りば


<トラック082〜090 念仏・盆踊(エイサー)・八重山念仏>

 082 念仏 親の御恩

 083 念仏 親シグン

 084 盆踊 エイサー

 085 盆踊 久高万寿主

 086 盆踊 伊佐ヘイヨー

 087 盆踊 アンシメー

 088 盆踊 唐船ドーイ

 089 八重山念仏 アンガマ踊進行

 090 八重山念仏 無蔵念仏


<トラック091〜095 京太郎(チョンダラー)>

 091 京太郎 泡瀬 扇舞

 092 京太郎 泡瀬 升斗舞

 093 京太郎 泡瀬 馬舞者

 094 京太郎 泡瀬 鳥刺舞

 095 京太郎 首里 覗きからくり


<トラック096〜099 女郎馬(ジュリンマ)>

 096 女郎馬 センスルーブシ

 097 女郎馬 万才講者

 098 女郎馬 ウフンシャリブシ

 099 女郎馬 六調子(唄古藤節子ほか)


<トラック100〜108 路次楽(ルジガク)>

 100 路次楽 王府 大太鼓

 101 路次楽 王府 音取(奏梅宗美男)

 102 路次楽 王府 一段(奏梅宗美男)

 103 路次楽 王府 二段(奏梅宗美男)

 104 路次楽 王府 三段(奏梅宗美男)

 105 路次楽 王府 四段(奏梅宗美男)

 106 路次楽 王府 五段(奏梅宗美男)

 107 路次楽 地方 南の島楽

 108 路次楽 地方 ヨーラン楽


<トラック109〜115 御座楽(ウザガク)・唐歌>

 109 御座楽 (宇座氏)サンボーヤン

 110 御座楽 (安室氏)ナネーロー

 111 御座楽 (安室氏)サウシン

 112 御座楽 (具志頭氏)ナネーロー

 113 唐歌 久米 聖朝楽 孔子世家讃

 114 唐歌 久米 大平歌

 115 唐歌 伊集 打花鼓


<トラック116〜123 爬竜船歌(ハーリー)・みろくぶし・獅子舞>

 116 爬竜船歌 那覇 遊び漕ぎ

 117 爬竜船歌 久米 遊び漕ぎ

 118 爬竜船歌 久米 フッチューニ

 119 爬竜船歌 泊 遊び漕ぎ

 120 みろくぶし 赤田 赤田首里殿内

 121 みろくぶし 赤田 笠囃子

 122 みろくぶし 赤田 唐歌

 123 獅子舞 松本節



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■■Disk3■■

<トラック124〜138 綱曵>

 124 綱曵 与那原 前舞

 125 綱曵 大里 前舞

 126 綱曵 銅鑼 ガーイの時

 127 綱曵 綱を寄せる時

 128 綱曵 綱を曵く時

 129 綱曵 首里 金鼓

 130 綱曵 西町 太鼓

 131 綱曵 久茂地 太鼓

 132 綱曵 久茂地 ハンシーガニ

 133 綱曵 東町 太鼓

 134 綱曵 東町 鉦鼓

 135 綱曵 久米 ハンシーガニ

 136 綱曵 垣花 太鼓

 137 綱曵 牧志 鉦鼓

 138 綱曵 泊 鉦鼓


<トラック139〜152 読唱(組踊など)>

 139 読唱 組踊 二童敵討按司詞(眞境名由康優)

 140 読唱 組踊 八重瀬波平大主詞(島袋光裕優)

 141 読唱 組踊 花売縁男女の問答

 142 読唱 組踊 村原のはげしい言ば使い

 143 読唱 組踊 銘苅子と天女の柔ら吟

 144 読唱 組踊 二童敵討の子供のせりふ

 145 読唱 組踊間の物 姉妹敵討中(与儀幸佐)

 146 読唱 組踊間の物 花売縁中(眞境名由康優)

 147 読唱 組踊間の物 村原中(島袋光裕優)

 148 読唱 狂言 長者の大主(眞境名由康優)

 149 読唱 狂言 ウヤンマー(眞境名由康優)

 150 読唱 狂言 塩屋のパーパー(永村優)

 151 読唱 手まりうた

 152 読唱 読書法(宮城能造優)


<トラック153〜160 YWCA出版祝賀会会場での録音(ヒヤミカチ節など)>

 153 家族合奏 箏・三線・ヴァイオリン・フルート(家族四人)瀧落菅撹

 154 尚真王讃歌(歌曲山内 唄仲吉史子)

 155 劇 命よりも譜が大事(有銘)

 156 沖縄メロディー(山内家族)

 157 舞踊劇 白い煙黒い煙(詞稲垣、曲山内、唄伊波・仲吉、振舞古藤ほか)

 158 摩文仁の丘(嘉手納清美)

 159 サンバ(大城信子)

 160 ヒヤミカチ節(全員)




【採譜の仕方】 民芸全4 自序(p.12)
(1)謡者の唱法を正確に写すためには主観をやめ、採譜後は謡者と共に唄ったり、次に私一人で譜の通りに唄ってきかせたりして、双方納得のいく処まで訂正した。
(2)謡者の音程・タイム・旋律がやる度に違って定譜のとれない場合は数十回も採譜して、その平均をとる方法をした。多少の音程差は半音・一全音・・・・・・にまとめて近似音をとった。その音程差は民族的又は個性によって違う。
(3)採譜記録は旋律の音程変化によっては困難をしたので、旋法法をとった。まず何旋法の何声から起こっているかを突き止めたら、その後は糸をたぐるようにすらすらと書けた。転調の場合は宮を変えてやればよい。
(4)各曲種は殆んど採ったが、ノロのオモリや臼太鼓などは各村とも異なった楽風があるため、手が廻らず、有名村のものに止めた。
(5)大戦で原稿を焼いたので田辺先生に上げた複写から又写しして本著の拠構にしたが、ミントゥンのおもろの歌曲や浦添のアマーウェーダーや識名のウズンビーラの曲などは永久に消滅した。
(6)特例として最近石川市の臼太鼓の歌曲をテープに吹き込んで空輸してもらって採譜したのもあり、其他一行の採譜を校訂するのに、数度空便でやりとりした処もある。


【山内盛貴による(3)の大意意訳】
メロディの音程の変わり方によっては採譜が難しいものがあったため、その曲が何の音階で構成されているかを判断する手法をとった。すなわち、その曲の中で使われる音高の種類を特定した。何の音階の、何調(※C調やハ長調などの調)の曲であるかが判明したら採譜は楽だった。転調する曲の場合は第T音(※調の1番目の音。C調ならド)を変えてキーを変えればよい。
※正確には用語の使い方が違います。旋法≠音階、声≠調、宮≠第T音ですが、盛彬の伝えたいことはこういう話です。

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posted by 530(ゴサマル) at 02:57| Comment(0) | 山内盛彬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする