2020年10月01日

【CDその1曲解説・試聴音源】トラック001〜005 首里王府のウムイ(オモロ)

■■収録曲解説、試聴音源および歌詞等■■

トラック001〜005 首里王府のウムイ(オモロ)

沖縄の万葉集と称された『おもろさうし』(国の重要文化財)に詞が記載された神歌「オモロ」(県無形文化財)。王府の儀礼の中で謡われ、神へ祈りを届ける国家祭祀的役割を果たしました。山内盛彬は王府オモロの技能保持者として県指定されました。

『おもろさうし』については各種サイトや書籍等に詳しい解説がありますのでそちらをご参考ください。


S__1409045.jpg

※画像は民俗芸能全集第1巻『琉球の音楽芸能史』より


このCDに収録されたオモロは神歌主取(ウムイヌシドゥイ)が近代まで伝承したオモロです。これは、いわゆる"古琉球"の時代のオモロの歌唱方法とは大きく異なっている、という推測が定説になっています。

盛彬が採譜・吹込したオモロには、歌詞一字一字の間に意味を持たない発音(盛彬はこれを「附言」、金城厚氏はこれを「挿入語」と呼称)があり、歌詞を聴き取ることは非常に困難になっています。

音楽的な予備知識がなければ歌詞の聞き取りは不可能と言ってもいいでしょう。

このような歌唱法はいくつかの地方神歌にも類例がありますが、特にこのオモロは大量の無意味音を内包していて声をまるで楽器のように扱っています。

比嘉悦子氏は、盛彬のオモロは一見難解なようだが短いフレーズパターンのヴァリアンテがモザイク風に結合されて反復されているに過ぎない構造であることを明らかにしました。

また『おもろさうし』内の表記で繰り返しを表す「又」記号以下の歌詞を安仁屋真苅翁が謡わなかったのは、時代が下り儀式の内容・頻度・予算などが減ったためではないかと考えられます。




<民芸全4から盛彬の解説引用一部抜粋 p.25-33>

 琉球のおもろ・おもりは車の両輪のように文音そろって後代まで伝承されて片輪を免れたのは、世界の奇跡である。しかるに廃朝後は支持者を失って亡びようとするのを採譜したためにその面影を残し得たのは不幸中の幸である。(p.25)

 大正元年八月十七日、王朝のおもろの伝授と採譜をするために、王朝最後のおもろ主取安仁屋真苅翁を大山の寓居に訪ねた。翁と私の祖父盛熹とは親友であり、祖父の計いで翁宅に使わす約束が既にできていたので、翁は快く迎えて下さった。
私が行ったらシテ四人を呼び寄せ、姿勢をきちんとして正坐し、まず『おもろさうし』に一礼して後、扇を打ふりながらフチュン(謡う)され、一週間の期間家事一切を省みず、教授と採譜をさせていただいた。
 お別れに当たって翁は「廃朝後は世襲もなくて絶えるところ、君の採譜のお蔭で永えに伝えていくことのできるのは感謝に堪えない。ぜひ印刷に付し、琉球文化宣揚のために努力してくれ」と固く握手して下さった。(p.31-32)






曲の解説と試聴音源

採譜者:山内盛彬  採譜時歌唱者:安仁屋真苅(あにやまかる)
採譜年月日:1912年8月17日〜24日  採譜場所:宜野湾市大山 安仁屋本家(大戦で焼失)

001 首里王府のウムイ オーレーガフシ

おもろさうし巻22 1(通し番号1508) 稲の穂祭之時おもろ あおりやへが節

試聴音源 001 首里王府のウムイ オーレーガフシ試聴用.wav


<歌詞発音>

あまみきょが うさししょ この大しま おれたれ とももすへ おぎゃかもいす ちょわれ

amamikyuga usashisyu kunuushima uritari tumumusuyi ujakamuishi chowari


<歌意>

あまみきよ神の御命令でこの大きな島”沖縄島”に降りて来られた尚真王様よ、千年も末長く支配してましませ。

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.35>

オーレーとは首里と今帰仁におかれた女神官名。五月稲穂祭の時、王城正殿で主取が謡った歌曲である。国王は見えないが、有司百官七八十人出席し、御茶神酒を供える時に謡い初め、儀式の了ると共に謡も止める。




002 首里王府のウムイ ウシカキフシ

おもろさうし巻22 2(通し番号1509) 稲の穂祭之時おもろ おしかけ節


<歌詞発音>

きこゑ大ぎみぎゃ けおの うちの のろのろ あよそろて かくらひやし みぉやせ
kikuyiufugimija giunu uchinu nurunuru ayusuruti kakurahyoshi myuyashi

<歌意>

聞得大君が京の内のノロたちと心を揃えて神座拍子を国王様に奉りなさいませ。

<民芸全4からの解説引用抜粋 p.37>

謡式 あおりやへかふしに同じ




003 首里王府のウムイ カクラフシ

おもろさうし巻22 10(通し番号1517) 稲の大祭之時おもろ かぐら節


<歌詞発音>

きこゑ大ぎみぎゃ とよむ せたかくか さしふ おれなおちへ

kikuyiufukimija tuyumushitakakuka sashifu urinauchiyi


<歌意>

名高く霊力が高い聞得大君が、さしふ神女に天降りして世を直し平和になさいませ。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.38-39>

六月稲穂祭謡。かくらは神倉で神の所在を意味する。 謡式 あおりやへか節に同じ




004 首里王府のウムイ アカシミジラシヤカフシ

おもろさうし巻22 43(通し番号1550) 唐船すらおるし又御茶飯之時 あかずめづらしやが節

雨乞の時おもろ(巻22 39 通し番号1546)と旋律が同じ


<歌詞発音>

あかすめづらしや いぢらかず おみまふて す はりやせ

akashimijirashiya ijirakazi umimafuti shi fauyashi


<歌意>

立派な珍しや神女は出船の毎に見守ってこそ(船を)走らせ給え。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.40-41>

唐船すらおるし すらおるしとは進水のことで、一年越しに新造される唐船の進水式には三司官も見えて船中でこのおもろを主取が謡う。造船所は垣花のアミヤーで、後の監獄敷地であった。

御茶飯 唐船出帆一か月前に行われる御茶飯(船員を国王が慰労する宴会)の儀式や、纜を造る祈願(イーチンナ)に謡われる。

雨乞 親方部三人出席し、城中又は雨乞バンタで祈願の時のおもろ。天上に水の川があり、雨はそこから降るので、雨乞いをすれば雷雨が降ると考えた。




005 首里王府のウムイ シヨリイートゥフシ

おもろさうし巻22 47(通し番号1554) 御冠船之御時おもろ しよりゑと節


<歌詞発音

しよりおわるてだこか おもいくわのあすび なよればのみもん

shiyoriuwarutidakuka umuikuwanuashibi nayuribanumimun


<歌意>

首里におわします国王の、愛する子の神遊びの、踊る様の美しさよ。


<民芸全4からの解説引用抜粋 p.43>

えととはイートの表記で、賞讃のかけ声である。このおもろは首里に在す尚円王の王子王女の舞踊を誉めたたえたおもろである。冠船劇で冊封使観覧のとき、開幕前におもろ主取が唄う。





首里王府のウムイ(オモロ)5曲のみを音源ダウンロード購入する場合は下記リンクへ

リンクURL:https://nichiryu530398.booth.pm/items/2422021


posted by 530(ゴサマル) at 03:03| Comment(0) | 山内盛彬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: