去る6月末、沖縄文化研究のために訪沖してきました。そこでの行程と、自分が感じたこと、決意したことを改めてここに記し、肝に銘じようと思います。
6月27日(金) 沖縄県立芸術大学付属研究所にて
平山良明先生、波照間永吉先生らによって毎週金曜日夜に行われている『おもろ研究会』に聴講生として参加させていただきました。まず驚いたのはK@iriさんがいたこと。沖縄でのオフ会や、去年の芸大祭ライブで一緒に出演したK@iriさんも共に勉強会に参加しました。
この『おもろ研究会』は1968年6月7日(金)からほぼ毎週行われ、1500回を超える伝統と実績ある民間主体の研究会でありまして、そこに参加させていただけたことは大変名誉であります。参加を快く許可してくださった波照間先生に感謝申し上げます。
会においては、参加者のみなさんのおもろに対する熱気がうずまいていて、雰囲気に魅了されました。もちろんおもろの勉強にもなって、今まで見えていなかったおもろの世界観の一端をご教授いただきました。
おもろ自体についてはまだまだわからないことばかりですが、おもろに関係する人々の情動に強く胸を打たれました。まずはおもろ研究の歴史と成果を調査して、それから空いた時間におもろそのものの理解・解釈に取り組んでいこうと思います。
6月28日(土) 摩文仁平和祈念公園平和祈念堂にて
王府おもろ伝承者第十五代安仁屋真昭先生主導の下、慰霊の日イベントとして第八回琉球王朝礼楽・奉納演奏が行われました。昨年発足した『山内盛彬楽曲伝承保存会』が中心となって行われ、王府おもろ・クェーナ・御座楽・湛水流・舞踊・合唱団の皆様が出演されました。
大仏様に一礼してからおもろを歌いました。仏教音楽的要素を持つおもろとしては、バックに大仏様がいたことで荘厳さが一入(ひとしお)となりました。観客は20人〜30人、演目ごとに少しずつ入れ替わり立ち代りしている状態でした。
最後のヒヤミカチ節合唱にて、湛水流の先生方と一緒に三線を演奏させていただきました。
この保存会が益々の発展を遂げて、沖縄文化へのより一層の貢献と成熟を促す輔車となることを心から願います。そのために自分にできることがあれば一身を賭して臨む考えです。
二日連続でおもろ関連のイベントに臨席してきました。文学研究と、音曲公演という二つの異なるベクトルですが、どちらもおもろであることには変わりません。今後、楽曲研究と文献研究のより密な交流を図って、おもろ関連の研究が深化していくことを願い、また自分が助力したいと考えております。
今秋、韓国の全南大学にておもろ講座が行われるらしく、私も聴講生および補佐として同行したく考えております。琉球王朝と朝鮮王朝の文化の古層を探る研究が各方面で進んでいるようです。おもろを通して海外とのつながりもできていると思うと、おもろの将来性を感じます。
6月29日(日) 県立博物館および東南植物楽園にて
県博にて移民の展示会が行われていましたので、全資料をじっくり見てきました。自分の親戚にもブラジルへ移民として行った人がいるので他人事とは思えず興味津々に見入りました。
移民の根源的原動力、一世と二世三世のアイデンティティの拠り所、移民と県民とをつなぐネットワークの構築と将来的な応用などなど、色々とおもしろそうなテーマが目白押しでした。
ウチナーンチュネットワークって完全に芸能集団だと思った。沖縄関係の芸能ができることがOKINAWAアイデンティティの証明になってるような。芸能のちからってすげー。
夜は復活した東南植物楽園でのBIGINのコンサートを聞きにいきました。K@iriさんが働いていた関係で誘われたので。ブラジル音楽とのコラボがテーマだったみたいで、BIGINの新曲『バルーン』は、沖縄とブラジルをつなぐ歌になってて、歌詞の「ばるーん」っていう響きと「かさとまるー」って響きがいい具合にいい感じでした。生ブラジル音楽マルシャの圧倒的な音楽感にしびれました。
今回の沖縄旅行を終えて。おもろの現在のあり方について、いくつか自分の中でああしたいこうしたいというのが思い浮かんでいて、いつか自分もおもろの研究・保存・伝承に携わって、そしておもろが琉球王朝の重要な遺産であることを世界に示していきたいと思いました。それは今現在生きている人たちのために還元されるべき文化活動として発展するといいなと思います。そのためにも論文制作と団体運営、歌唱技術の向上やイベント企画などに努力していきたいです。
posted by 530(ゴサマル) at 10:44|
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